ひろゆきの賠償金未払いの真相について(追記あり)

ネットでは定期的に西村博之氏が、過去の賠償金を踏み倒したことと、それが理由でパリに逃亡しているという説が流れる。

このことについて現在もガーシーがひろゆきのことの同じ穴のむじなだと批判している。

www.sponichi.co.jp

またN国党の立花党首もひろゆきの賠償金を支払わないためにパリへ逃亡していると批判をおこなっている。

 

この件については、僕自身も実際のところを一番よく知っている人間の一人だと思うので、この機会に、ひろゆきの賠償金未払いとは本当は一体どういうことだったのかを書いてみようと思う。おそらく、世の中にまだ出てないことも書く。

 

まず、これはひろゆき自身も書いていることだが、パリに住んでいることと賠償金未払いというのは全く関係ない。

ひろゆきがパリへ移住したのは、賠償金の支払う義務が時効により消滅してから後だ。ひろゆきは現在も年に数回か日本に帰ってきている。もちろん日本に帰ったからといって賠償金の時効は既に成立しているので、支払う義務も発生しない。

だからひろゆきは賠償金の支払いから逃れるためにパリに逃げているわけではない。たんに移住しただけだ。

 

ここからは、まだ、公には話したことのないことを書く。

 

僕は、昔、そこそこ成功した動画サイトを作ったことがある。立ち上げの当初からひろゆきに手伝ってもらい子会社の取締役にも就任してもらった。一応、会社も上場企業だったし、僕はかなりコンプライアンスには気を配る性格なので、ひろゆきと一緒に動画サイトをやることの法的なリスク、社会的な評判リスクは、相当、慎重に検討した。

 

結果、ひろゆきに頼んだことがあって、要するに、これまではともかくとして今後は訴訟されたら、ちゃんと弁護士を立てて裁判に出てほしいということだ。

 

この件についてはひろゆきと何度も議論して、結果、ひろゆきも同意してくれた。

 

なので、某動画サイトの管理人になった後のある時期からは、ひろゆきは裁判に応じるようになったので、新しい賠償金は発生していない。なぜならひろゆきが受けていた訴訟というのは、裁判さえちゃんとすればひろゆきが勝つからだ。

 

したがって、ひろゆきが踏み倒したとされる賠償金も、裁判に出席しないから負けただけで、ちゃんと裁判をしてればそもそも支払う必要のないお金だということだ。

 

とはいえ、じゃあ、裁判に出席すればいいじゃん。出席しないで負けたんだから、結局、自業自得だという見方もあるだろう。これについては、ひろゆきに同情すべき事情もある。

 

ファクトとして、そもそもひろゆきは最初から裁判を無視していたわけではない。最初は裁判にちゃんと出廷していた。ところが2ちゃんねるに関わる訴訟の数が膨大になってきて、物理的に出廷が不可能になったのだ。2ちゃんねる全盛時代、まだ、ネットはそこまで一般的ではなかった。2ちゃんねるに悪口を書かれた人もネットの使い方を知らない人が多くて、2ちゃんねるにアクセスして、そこで削除要求をするなんてことはできない人が多かった。弁護士もそうだった。なので、2ちゃんねるが用意した削除要請のフォーマットは見てもらえず、いきなり訴訟をおこなうケースが全国で多発していた。

 

訴訟する方は簡単だ。本人訴訟ならほとんど切手代と最寄りの裁判所への交通費で済む。ところが訴訟されたひろゆきは全国の裁判所を飛び回らなければならない。いくら裁判をすれば勝てるといっても、ひろゆきの体は一つしかない。

あるとき同じ日に全国の別々の裁判所へ出廷するように命令がされて、事情を説明して片方の日程をずらしてほしいとひろゆきが裁判所にお願いしたのに裁判所から拒否をされたということがあった。これが、ひろゆきが裁判所に出廷しなくなった最初のきっかけだ。

 

弁護士を頼むという選択肢もある。お金がかかりすぎるという問題もあったのだが、それは置いといても、実は受けてくれる弁護士もいなかった。なぜかというと2ちゃんねるの訴訟は全国で発生していたので、全国規模でサポートできる大きい弁護士事務所じゃないと受けることができない。で、そういう大きい弁護士事務所は2ちゃんねるに関わることを嫌がった。

 

というわけで、ひろゆきの訴訟を受けてくれる弁護士事務所を探して紹介したのは、僕だ。

それでやっと、ひろゆき2ちゃんねるに関わる訴訟に対応することが可能になったのだ。

 

さて、ひろゆきに批判されたガーシーとその取り巻きの人たちが、ひろゆきにそんなことをいう資格はないと反論しているが、全く的外れだ。

 

ひろゆきの賠償金は本来ちゃんと裁判をしていれば払う必要のなかった賠償金だ。ひろゆきは最初から裁判を無視したわけではなく、日本の法制度のある種の欠陥により、物理的に裁判に対応できない状況に追い込まれてやむをえず裁判にも出ない代わりに賠償金も支払わないという選択をとったに過ぎない。あまり褒められた選択ではなないにせよ、自分の利益のためでなく、防衛的な選択だ。

 

一方、ガーシーは著書にも自分で書いているように客から預かったお金に手をつけてギャンブルで溶かした。親友のFC2高橋氏は、日本では違法な無修正のポルノがじゃんじゃん見れるサイトを米国にダミー会社を作って日本の法律に従わずに日本でサービスをするということを行った。これらは意図的な犯罪、あるいは脱法行為だ。まあ、日本の社長は逮捕されたのだから、違法行為と結局、警察に認定された。

 

ひろゆきの賠償金未払いとは根本的に性質が異なることを指摘しておく。

 

以上

 

(追記)8月8日16:04

・ 出席をせずに負けて賠償金が発生した裁判が、出席していれば勝てたのかは分からないじゃないかというのは原理的にはその通り。ただ、ほとんどの裁判は勝てた。というかおそらく内容証明の段階で弁護士が対応していれば、そもそも裁判までも行かなかったケースが大半だったと考えている。

また、弁護士が対応するようになってからは賠償金は発生していないとひろゆきからは聞いている。

・ 絶対に勝てる裁判を弁護士が受けないわけがない。というコメントがいくつかあったが、現実を知らない人だと思う。そもそも裁判はそんなに弁護士が喜んでやってくれる仕事じゃない。あと当時2ちゃんねるひろゆきは完全に法曹界の敵だった。

・ 全国レベルでサポートしてくれる弁護士事務所がなぜ必要か?各地で弁護士を雇えばいいじゃないか。という書き込みは、まあ、できなくもないがめちゃくちゃ大変。別々に1から説明が必要だし、訴訟の対応方針を全国で統一するのも大変。企業でちゃんとした法務部とかあれば別だろうが、個人でやるのはできなくはないせよ、現実的とは思えない。

・ いずれにせよ、ひろゆきの訴訟無視、賠償金支払い無視という戦略を、同情の余地はあるにせよ、僕として肯定しているわけではない。やはりまともな社会人としてはあり得ないと当時も今も思っているし、だから、受けてくれる弁護士事務所を探して紹介した。