山本一郎氏によるネットで有効な議論の方法
サイトブロッキングについては実名ブログで書くことにしているが、山本一郎氏の一連のブロッキングまわりのブログ記事についてのコメントは、実名ブログには書かないことにしたい。
理由は、氏の行っているブログの中身は、ブロッキングそのものの議論とは、もはや呼べない、ただの個人攻撃だからだ。これはむしろネット全体に関わるネットでの議論を装った中傷にどう対応すべきかという問題の典型例だろう。
まずは以下の記事のタイトルを見てみる。
憲法違反「ブロッキング議論」を誘発した、クールジャパン機構を巡る官民の癒着構造
いうまでもないことだが、クールジャパン機構とブロッキング議論は、なんの関係もない。
本文を読んで見ると、なにか、結びつける根拠があるかと思いきや、ただの人名とブロッキングとはまったく関係のない事柄をつぎつぎと書いてあるだけで、無理矢理にこじつけて連想させようとしているに過ぎない。
この記事は山本一郎氏が得意とするネットで効果がある印象操作の典型例だ。
ネットの読者の大多数は記事をタイトルしか読まない。また、本文についても流し読みで、キーワードなどによるイメージでのみ判断をする、という傾向がある。なにか問題を言い立てている雰囲気だけを装って、あとは人名とかの単語を悪いことをしているという印象操作をおこなうというのが山本一郎氏の議論のやりかただ。
これは議論とは本来は呼ばないと思う。実際、相手の意見に対して反論をおこない、それに対して再反論があるという、通常の議論を山本一郎氏がおこなうのは稀だ。ほとんど、このような言い切りの印象操作の発言を連発して、相手の反論には、関係の無い別の印象操作の発言をぶつける、あるいは、反論などなかったかのように、同じフレーズをくり返して延々と攻撃を続ける、というのが山本一郎氏の議論のやりかただ。
さきほどのブログの本文もそういうブロッキングと関係のない中身で満たされている。読むのもバカバカしいが、上から中身をみていく。
・ CODAの資料による3000億円の被害金額がおかしい。
→おかしくない。妥当なものであることは、さんざん私などが主張しているが、その議論にはふれていない。
・ CODAがブロッキングに賛成するように各社、各団体に働きかけたことが問題である。
→意味不明。賛成なんだから、働きかけるのは当然では?
・ CODAがブロッキングに固執するのは、予算獲得のためだ。
→まず、これはブロッキングの議論の正しさとはまったく関係のない攻撃である。CODAは海賊版対策を長年やってきた団体で、ブロッキングしか方法がないというのを一番理解している団体。ちなみに、この議論と無関係の攻撃を最初にネットでおこなったのは今年4月の楠正憲氏。
・ 林いずみ委員が有識者の資質を欠く。根拠は法学部の学生でも知っている憲法の知識を知らなかったからだ。
→もちろん、林いずみ委員が憲法を知らないわけがなく、憲法や法律のもとでどのように行政が運用されているのかの事実を指摘しているわけですが、議論を理解しているとも思えない山本一郎氏は、自分ではなく、林いずみ委員が有識者失格であると断じています。これはただ林いずみ委員の信用を失墜させることだけが目的の個人攻撃でしょう。
・ 林いずみ委員とファイアーエンブレムと任天堂の話。
→ブロッキングとなんの関係があるのか。
・ 林いずみ委員が総務省の発言を批判したのは、ブロッキング推進のためであり、クールジャパン機構の取締役をしていたので、利益相反の疑いがある。
→前半も後半も意味不明。特に後半はクールジャパン機構の取締役をしたら、必ず悪いことをしているはずだという前提があるように思えるが、山本一郎氏だったら汚職できる立場になったらするのが当然かもしれないが、一般にあてはめるのは、たんなる中傷だ。
・ クールジャパン機構に、夏野氏と林いずみ氏と須賀千鶴が関与している。カドカワと癒着していた?
→まず、ブロッキングとは関係ない。元の文章が単語をちりばめているだけで具体的になにを主張しているのが不明だが、癒着不正があったというのは重大な中傷だ。たんに印象操作で名前をあげているだけでないなら、証拠を出すべきだろう。(おそらく、こう書くと、なんの証明にもなってないキーワードの羅列をまた証拠だといって、持ってくると予想)
山本一郎氏の記事本文をよく読んで貰えば分かるが、彼の文章はそもそもなにをいっているかよく分からない。ただ、事実を適当にならべて、適当なコメントを並べているだけで、キーワードによる印象操作を狙っているだけだからだ。だから、反論が難しい。論ではなくただの印象操作だからだ。
これを山本一郎氏は確信犯でおこなっている。
産経デジタルのIRONNAには以下の記事を山本一郎氏は寄稿している。
記事の中身にはまったく賛同はしないが、上のヤフー個人ニュースの記事よりは、ずいぶんとそれっぽい記事だ。
山本一郎氏による個人攻撃の記事は、さすがに内容のチェックのある媒体には載せられないということだろう。
ただし、ヤフー個人ニュースの拡散力は大きく、山本一郎という筆者の選定と大きく扱う記事のピックアップはヤフーニュースが行っている。
山本一郎氏を見習った言い回しをしてみると、自社を批判されないように、ヤフーニュースという媒体の力を山本一郎氏に与えて、他者への個人攻撃に加担しているのだとしたら、ヤフー自身も責任が問われてしかるべきではないかと私は思う。
以上