経営戦略と作戦と戦術と商品開発を定義してみる件

fromdusktildwawn氏のブログshi3z氏のブログのやりとりを見て思ったことを書く。

 

from氏のブログでは経営戦略と商品開発という用語が登場する。

shi3z氏のブログでは戦略、作戦、戦術、兵站という用語が登場する。

 

それぞれの議論や主張はよく類似のものを見かけるので、きっと、それなりに正当性があるのだろう。残念ながら、彼らのバイブルだろうビジネス書や銀英伝の類は読んでいないのでここでは言及しないことにする。

 

ただ、彼ら自身の文章からも定義や表現を苦労している節が伺える上記の用語については、きっと読者はもっと混乱しているだろうから、なにか即興で、もうちょっと理系的でもうすこし厳密な定義を与えることはできないかと思って考えてみた。

 

まず、戦略、作戦、戦術とはなにか?5分ほど熟考した上でのぼくの結論はこうだ。戦略、作戦、戦術のどれにもあてはまる。

 

一、 (効率性)怠け者が手を動かさずに考えたうんちくである。

一、 (単純性)簡単な法則なので説明されればバカでもわかる。

一、 (一般性)同じような局面であればいつでも適用できる。

 

働くのは大変だ。基本的には、戦略も、作戦も、戦術も頭を使って楽に仕事をする方法である。そして、戦略も作戦も戦術もなにしろ楽をする方法であるから、より問題を単純化するものであり、よくわからない作業をうまくやるための指針を与えてくれるものである。そして当然のことながら、同じような仕事では毎回使えることが重要だ。

 

では、戦略、作戦、戦術の違いとはなんだろう?これは上記のなんらかのうんちくを分類する方法であって、通常は時間的、規模的、あるいはその他の適用される範囲の大小によって決定される。

 

当然ながら

 

時間的な長さ  戦略 > 作戦 > 戦術   

規模的な大きさ 戦略 > 作戦 > 戦術

適用範囲の大小 戦略 > 作戦 > 戦術

 

となる。基本的にはスケールの問題だけだが、とかく戦略が大事とかいうひとは、戦略と戦術に質的な違いを見いだそうという傾向が強いように見える。ぼくの見解ではそれらは量的な差である。

 

また、上述の効率性、単純性、一般性という尺度で考えると、傾向としては以下のようになるだろう。

 

効率性  戦略 > 作戦 > 戦術  (どれだけの量の仕事を節約できるかという点)

単純性  戦略 > 作戦 > 戦術  (うんちくの単純さ)

一般性  戦略 > 作戦 > 戦術  (どれだけ一般的な法則か)

 

戦略が大事だというひとが多いのは、基本的には戦略が楽をする小手先のテクニックとしては一番に効果が高いからである、とぼくは思う。(というか、いま書いてて思った)

 

そう、基本的には戦略も作戦も戦術も小手先のテクニックだ。頭のいいひとが手を汚さずに頭だけで自分が有利にたとうという小手先のテクニックを体系化したものが戦略であり作戦であり戦術だ。

 

さて、ここで経営戦略と商品開発のどっちが大事かという議論をみて思ったことを書く。商品開発で勝負するということはどういうことか。商品の内容で勝負するということだ。もしくは商品の宣伝で勝負するということだ。それはライバルとの真剣勝負であり、どうやってライバルと差別化するかという戦いである。

 

こういうライバルとの競争の時には上記の戦略、作戦、戦術というのはなかなか役に立たないことが多い。なぜならしょせんは小手先のテクニックだから重要な小手先はお互いやっているからだ。そういう勝負では単純に基礎能力が高かったりや経験が多いほうあるいはより努力をしたほうが勝ったりする。そこでの勝負に強いことが、件のブログの議論での商品開発力があるということと関係あるのだろう。

 

ようするに戦略や作戦や戦術などといった小手先のテクニックが通用しない世界での真剣勝負である。ぼくは、だから戦略、作戦、戦術というのは基礎教養であり、商品開発での勝負が本戦であると考える。本当は、戦略、作戦、戦術で差をつけるのは難しいのだ。ところがIT業界のようにまだみんな方法論が見いだせていない新しい世界では、世の中のレベルが低いので、そういう小手先が有効になるということだ。

 

というわけでだいたい目標は達せたと思うが、最後に残った兵站とはなにかについて定義を与えよう。兵站というと補給。補給って大事だね。とかまあ漠然と比喩で理解してもあまり益がない。もう少し抽象的に考えると、兵站とは戦略、作戦、戦術を実行することである。戦略、作戦、戦術というのはしょせん頭の中で考えたことにすぎないから、実際に現実で実現するためにはそういう作業が必要だ。それを兵站という言葉が抽象する本質的な意味であると考えればいいだろう。

 

(追記)

戦略について小手先と書いたが、小手先じゃない戦略というのも当然存在はするだろう。ある程度、競争が進むと小手先の戦略というのは通用しなくなるし、逆に小手先でない戦略で勝負するということも可能だ。そして、そういう戦略であれば周りに隠す必要はそれほどない。なぜなら小手先でない戦略は他人には理解されない信用されにくいものだからだ。 ライバルに隠すべき戦略なんて、じゃんけんでぱーだすかぐーだすか、それぐらいの低レベルなものだけだ。たしかにそういうものなら隠したほうがいい。

経営戦略を隠すべき本当の理由とは次のふたつなんじゃないか。

・ もったいをつけたほうがみんなが信じやすいし、協力を得られやすい。

・ 幼稚だから話すと恥ずかしい。

以上